保育園看護師の仕事は、特定の業務だけをこなすのではなく、園全体の健康と安全に関するあらゆる事象に対応する、極めて多岐にわたる役割を担う。その一日を追うことで、この仕事がいかに柔軟性と専門性、そして人間性を要求されるものであるかが、より鮮明に見えてくるだろう。朝、保育士たちより少し早く出勤した看護師の一日は、まず、その日の「健康と安全」に関する情報収集と準備から始まる。体調不良で欠席している園児の情報を確認し保育士採用 奈良エンゲージ特集与薬が必要な子どもの薬を保護者から預かり、用法・用量を厳重にチェックする。そして、各保育室を巡回し、室温や湿度が適切か、危険な箇所はないかを確認する。子どもたちの登園が始まると、看護師は玄関で、子ども一人ひとりを迎え入れる。これは、挨拶を交わすだけの時間ではない。「おはよう、〇〇ちゃん。昨日はよく眠れたかな?」と声をかけながら、その顔色、目の輝き、皮膚の状態などを瞬時に観察する「視診」の時間だ。保護者から「昨夜、少し咳が出ていて」といった情報があれば、それを記録し、日中の重点的な観察対象とする。午前中、看護師は主に担当する〇歳児クラスで、保育士と共に乳児のケアにあたる。ミルクの調乳や授乳、おむつ交換といった直接的なケアを行いながら、一人ひとりの発達や健康状態を専門的な視点でアセスメントする。その合間を縫って、別のクラスで子どもが転んで膝を擦りむいたと聞けば、すぐに駆けつけ、冷静に傷の状態を判断し、適切な応急処置を施す。その際には、泣いている子どもの気持ちに寄り添い、安心させる言葉をかけることも忘れない。昼食の時間は、アレルギーを持つ子どもへの対応で、最も神経を使う場面だ。アレルギー対応食が、他の子の食事と絶対に混ざらないよう、配膳から食事中、そして後片付けまで、複数の職員と共にダブルチェック、トリプルチェックを行う。午睡の時間には、SIDS予防のための呼吸チェックを、保育士と連携しながら徹底する。子どもたちが眠りについた後の静かな時間は、看護師にとって重要な事務作業と教育活動の時間となる。保護者向けに、夏の感染症対策をテーマにした「保健だより」の原稿を作成したり、園内のヒヤリハット事例を分析し、職員向けの安全研修の資料を作成したりする。また、園で備蓄している医薬品や衛生用品の在庫を確認し、発注作業を行うこともある。夕方、子どもたちが降園する時間になると、看護師は再び、保護者との重要なコミュニケーションの場に立つ。日中に体調の変化があった子どもの様子を詳細に伝えたり、家庭での健康に関する相談に乗ったりする。看護師という専門家からのアドバイスは、保護者にとって大きな安心材料となる。こうして、看護師の一日は、医療従事者、保育者、教育者、そして時にはカウンセラーとして、目まぐるしく役割を変えながら過ぎていく。この多様な業務を、冷静かつ温かく遂行する能力こそが、保育園看護師の真価なのである。