認定こども園制度の普及に伴い、保育と教育の両方に精通した「保育教諭」の需要は全国的に高まり続けている。それは、保育士や幼稚園教諭として働く現職者にとっても、これから保育の世界を目指す学生にとっても、キャリアアップや活躍の場を広げるための魅力的な選択肢となっている。求人ボックスで保育士の採用では、この新しい時代の専門職である保育教諭になるためには、具体的にどのような道のりを歩む必要があるのだろうか。保育教諭になるための絶対条件は、前述の通り「保育士資格」と「幼稚園教諭免許状」の両方を取得することである。これから大学や専門学校への進学を考える高校生にとっては、卒業と同時に二つの資格・免許が取得できる課程を持つ教育機関を選択するのが最も効率的なルートとなる。近年、多くの大学の児童学・教育学系の学部で、保育教諭養成に対応したカリキュラムが整備されており、進学先を選ぶ際の重要な判断基準となるだろう。一方、既に保育士、あるいは幼稚園教諭として現場で働いている人々のために、国は「幼保連携型認定こども園創設に伴う経過措置」という特別な制度を設けている。これは、片方の資格・免許を持つ人が、もう片方の資格・免許を取得しやすくするための特例制度であり、働きながら保育教諭を目指すための重要な道筋となっている。具体的には、保育士資格を持つ人が幼稚園教諭免許状を取得する場合、一定期間以上の実務経験があることを条件に、大学等で「教育の方法及び技術」「幼児理解の理論及び方法」など、指定された八単位程度の科目を履修することで、免許状の授与申請が可能となる。逆に、幼稚園教諭免許状を持つ人が保育士資格を取得する場合も同様に、実務経験と指定科目の履修によって、保育士試験の全科目が免除され、資格を取得することができる。この経過措置の活用により、多くの現職者がキャリアを中断することなく、自身の専門性を高め、保育教諭へのステップアップを実現している。保育教諭として働くことには、多くのメリットがある。活躍の場が保育所、幼稚園、認定こども園と広がり、転職の際にも有利に働く。また、二つの専門性を持つことから、職務手当などが加算され、処遇の向上が期待できる場合も多い。しかし、それ以上に大きな魅力は、子どもの発達を〇歳から就学前まで一貫して見通し、福祉と教育の両面から深く関わることができるという、専門職としてのやりがいの大きさだろう。もちろん、二つの国家基準を常に意識しながら保育計画を立てる複雑さや、多様な背景を持つ職員をまとめていく難しさといった挑戦も伴う。日本の幼児教育・保育は、今まさに大きな変革期にある。保育教諭は、その変革の最前線に立ち、制度の壁を乗り越えて、すべての子どもの最善の利益を実現するという、重くも尊い使命を担っている。これからの保育の質を左右するキーパーソンとして、その存在価値はますます高まっていくに違いない。