保育士という職業には、日々の忙しさや責任の重さを補って余りある、根源的で、かけがえのない魅力が存在する。その数ある魅力の中でも、多くの保育士が「この仕事を選んで本当に良かった」と心から実感する瞬間の中心にあるのが、一人の人間の「成長」という、生命の奇跡をすぐそばで目撃できるという特権だろう。それは、どんな映画や物語よりもドラマティックで、感動に満ちた、日々の記録である。保育の現場は、「できた!」という輝かしい瞬間の連続に満ちている。昨日までおぼつかなかった足取りの子が、今日、確かな一歩を踏み出して満面の笑みを見せる。何度練習してもうまく言えなかった言葉を、はっきりとした声で口にする。友達とのおもちゃの貸し借りができず、いつも泣いていた子が、自分から「どうぞ」と手を差し出す。これらは、大人から見ればごく些細な一コマかもしれない。しかし、その一つひとつが、子ども本人にとっては、世界を大きく広げるための、勇気に満ちた大ジャンプなのだ。保育士は、この価値ある「一歩」の、最初の証人となることができる。その小さな成功を、本人以上に喜び、心から賞賛することで、子どもの中に「自分はできるんだ」という自己肯定感の種を蒔いていく。この「できた!」の積み重ねが、やがて、困難なことにも挑戦しようとする、しなやかで強い心を育んでいくのである。また、保育士の仕事の魅力は、日々の成長だけでなく、数年という長いスパンで、一人の人間がたくましく育っていく過程に、深く伴走できることにもある。おむつも替えられ、言葉も話せなかった赤ちゃんが、やがて自分の思いを言葉で伝え、友達と協力し、年下の子を思いやる、頼もしい年長児へと育っていく。その成長の軌跡は、決して平坦な一本道ではない。つまずき、後戻りし、時には激しくぶつかり合うこともあるだろう。保育士は、その全てのプロセスに寄り添い、その時々で必要な愛情と支援を注ぎ続ける。そして、卒園の日、かつては泣いてばかりいたあの子が、自信に満ちた表情で、未来への希望を語る姿を目の当たりにした時、保育士は、自らの仕事が、確かに一人の人間の「根っこ」を育んだのだという、深い感動と達成感に包まれる。それは、自分の仕事の成果が、一人の人間の人生の礎として、未来永劫にわたって生き続けることを実感する瞬間だ。もちろん、その成長は、子ども自身の持つ力によるものが最も大きい。しかし、保育士が、専門的な知識と経験に基づき、その子の発達段階に合わせた適切な環境を用意し、その子の可能性を信じ、励まし続けたからこそ、その力がいかんなく発揮されたこともまた、事実なのである。生命が持つ、力強く、美しい輝き。その最も凝縮された形である「子どもの成長」に、日々、触れることができる。これこそが、保育士という仕事の、何物にも代えがてない、究極の魅力と言えるだろう。
生命の輝きに触れる、子どもの成長という比類なき喜び