児童指導員と保育士は、資格や対象年齢、働く場所に違いがあるだけでなく、その日々の業務内容や、子どもと関わる上での視点にも、それぞれの専門性に基づいた明確な特徴がある。子どもたちの成長を支えるというゴールは同じでも、そこに至るまでのアプローチは異なる。両者が働く具体的な現場を覗きながら、その仕事の実際と、求められるスキルの違いを探ってみよう。まず、「保育士の一日」は、主に乳幼児の生活リズムを基盤として展開される。朝、登園してくる子どもたちを迎え、保護者と情報を交換し、日中の活動へと繋げていく。午前中は、設定された指導計画に基づき、製作、音楽、運動といった多様な「遊び」を通じて、子どもたちの好奇心や社会性を育む。昼食の時間には、アレルギーに細心の注意を払いながら、食事のマナーや楽しさを伝える「食育」を実践する。午睡の時間には、一人ひとりの安全を確認しながら、心身の休息を保障する。その全ての関わりは、「集団」の中での子どもの育ちを支えるという視点に貫かれている。保育士は、クラス全体が、安全で、安定した情緒の中で、発達に必要な経験を豊かに得られるような環境を構成する、いわば「クラス全体の演出家」であり、生活のあらゆる場面を教育の機会として捉える専門家なのである。一方、「児童指導員の一日」は、施設の種類によって大きく異なるが、例えば、放課後等デイサービスを例にとると、その仕事は子どもたちが学校を終える午後から本格的に始まる。学校での疲れや、その日あった出来事を、一人ひとりの表情から読み取り、まずは安心して過ごせる居場所を提供する。その後、個別の支援計画に基づき、学校の宿題のサポートを行う「学習支援」や、SST(ソーシャルスキルトレーニング)などを通じて、友達との適切なコミュニケーションの取り方を学ぶ「社会性の指導」を行う。また、児童養護施設のような入所施設では、その役割はさらに広範になる。朝、子どもたちを起こし、学校へ送り出し、日中は関係機関との連絡調整や、家庭復帰に向けた保護者との面談を行う。夕方、子どもたちが帰ってくれば、夕食を共に作り、学習を見てやり、入浴や就寝の準備を手伝う。時には、トラウマに起因する心の問題に寄り添い、カウンセリング的な役割を担うこともある。彼らの仕事は、子ども一人ひとりの人生そのものに深く伴走し、社会の中で自立して生きていくための力を育む、「生活指導の専門家」なのである。このように、保育士に求められるスキルが、集団を動かす力や、遊びを教育に転換する創造力、乳幼児の発達に関する深い知識であるとすれば、児童指導員に求められるのは、個別の課題に対応する力、カウンセリングマインド、そして、思春期の子どもたちの心に寄り添う、より高度な対人援助技術と言えるだろう。それぞれの現場で、それぞれの専門性を磨きながら、子どもたちの未来を支えているのだ。
日々の仕事に見る役割分担、児童指導員と保育士の現場での実際