幼稚園では絵を描いたり、工作をしたりする機会が多いものですが、うちの息子はそれらがあまり得意ではありませんでした。私は幼稚園の教室にはってある子供達の絵をみながら、「どうしてうちの子が描く人は、腕が首から出ているんだろう。手足のバランスもおかしいし。」「どうしてうちの子は色をこれだけしか塗っていないのだろう。みんな、もっとカラフルにぬってきれいなのに。」などとよく思っていました。けれど、あるとき幼稚園の参観日で息子の作品づくりを見ることがありました。折り紙をはさみで切ったものを、のりで貼って絵や模様にするというものでした。見ていると、息子はとても作業がゆっくりでした。他の子よりもとても遅く、なかなか形にならないので、私はだんだん心配になってきました。先生も息子の様子をよく覗き込んでいたのですが、そのとき私にこう言われました。「Kくんは、とても作業がゆっくりですね。だけど、お母さん、これとても細かいでしょう?こんなに細かく切っているのはKくんぐらいですよ?それをもくもくと貼っていて、とくにこの下のところを揃えて貼るのはこだわりがあるんだと思いますよ。すごいです。」私はそれを聞いて、「ああ先生はそういう風に子供を見てくれているんだ」ととてもほっとし、うれしく思いました。私はそれまでできないことにばかり気が向いていましたが、先生のように子供をみていきたいなぁと思いました。