先生と二人三脚で駆け抜けた鼓笛隊

一年前、息子が保育園の年長だった時の話です。秋に行われた運動会の鼓笛隊パレードで、息子はシンバルに抜擢されました。息子は楽器を習っている訳でもなく、私はてっきり小太鼓の一人になるものだと思っていましたので、驚きの抜擢でした。しかし、これには理由がありました。演奏曲は「名探偵コナンのテーマ」ですが、シンバルの演奏パートが多く、普通の園児では途中からスタミナが切れてしまい、最後まで演奏できなかったようです。その点息子は、他の園児より身体が大きく、スタミナに問題がなかったおかげで、楽器を習っている園児を押しのけて、シンバルの座をゲットしたのです。しかし音楽的センスがある訳ではなかったので、その日から猛練習が始まりました。担任の先生がマンツーマンで指導してくれ、息子も必死に練習しました。保育園ではもちろん、自宅でも自主トレに励みました。最初は正直、目を覆いたくなるような出来でした。しかし息子と先生の努力の結果、見違えるように上手くなりました。ただ完璧に演奏するのは難しいようで、演奏中どうしても1か所か2か所間違えてしまします。シンバルは音が大きいため、1度のミスでも致命的です。結局1度もノーミスで演奏することができず、当日を迎えました。演奏前の息子は遠目でも分かるくらいガチガチに緊張していました。私はその時点で諦めました。そして演奏が始まりました。最初は緊張のせいか音が小さかったのですが、演奏が進むにつれ、調子が出てきたのか、堂々とした演奏に変わっていきました。そのまま1度も間違えることなく、演奏を終えることができました。私も妻もそれまでの練習が走馬灯のように思い出され、感極まってしまいました。その後引き揚げてきた息子を担任の先生が抱きしめて、涙ながらに称えた姿を見ると、私たちの涙腺は決壊してしまいました。息子は恥ずかしそうにしていましたが、鼻をぷくっと膨らませてのドヤ顔でした。息子を囲み、先生と私たち夫婦は騒がしい運動会の喧騒の中、手を取り合って号泣しました。周りは少し引いていましたが、私たち家族にとっては良い思い出です。