個性を認め伸ばしてくれた幼稚園の先生

娘が幼稚園年長さんだったときの先生は、年中さん時代からの持ち上がりで二年間お世話になり、娘本人もよく懐いていて大好きな先生でした。娘が通った幼稚園では、毎年アットホームな園の雰囲気に溢れた発表会が話題になります。子どもたちも先生方もその年一番の見せどころということで一生懸命に練習しています。なかでも主役になるのは卒園前の最後の発表会となる年長さんたち。子どもたちも幼いながらその自覚があるのでしょう、心をこめて歌や合奏、劇の練習に励んでいます。私の娘は赤ちゃんの頃から身体が小さく、恥ずかしがり屋でなかなか人前で大きな声が出せません。発表会に向けて緊張が高まっているようでしたが、クラスで「エルマーとりゅう」の劇をやることになり猫の役があると聞いて顔色を変えました。猫が大好きな娘はどうしてもその役をやりたくなったようなのです。でも、猫は劇中で主人公エルマーのサポート役としてずっと旅のお供をする重要な役柄。ダブルキャストになりますがそれでも出ずっぱりで台詞もとても多いのです。大丈夫なのだろうか、という不安もよぎりましたが、先生もクラスのみんなも娘の気持ちを受けとめ「猫といえば◯◯ちゃんだよね」と応援してくれたらしいのです。やりたい役に決まったことももちろんですが、みんなに温かく受け入れられてもらったことが嬉しかったらしく、娘も練習を頑張っていました。ダブルキャストの子とは20センチほど身長差があり、発声も控えめでしたが先生が「そこがかわいい」「どちらの猫ちゃんも最高」と何度も褒めながら励ましてくださり、娘にとっても私たち家族にとっても忘れられない出し物、発表会となりました。個性を認め優しく声をかけ続けてくださった先生のおかげで、娘も自分の性質に萎縮することなく「私は私」という気持ちで現在も伸び伸びと過ごすことができています。本当に感謝の気持ちでいっぱいになるできごとでした。